見出し画像

これからも、 りんごとともに〈北海道余市町・JAよいち〉

冬は広大な畑の枝を一本ずつ剪定し、春から夏には日が当たるよう葉を取り、樹の状態を見て、花や実を間引いたり。

ようやく迎えた秋、たわわに実った枝から重みのあるりんごを丁寧に手でもぎとります。

りんご作りは一年仕事。

果実は一年の結晶です。

画像1

穏やかな人柄の森さんも、畑でりんごと向き合うと一瞬で真剣な表情に

「近い将来、北海道のりんごは幻の味になるかもしれない」

数ある作物の中でも、りんごの生産は屈指の〝体育会系農業〟だと感じます。春夏秋冬、休みなく季節作業があり、収穫だけを見ても高い枝から人の手で一つずつもぎとり、いっぱいになった重いコンテナを運ぶのもかなりの重労働。そうした中、他の作物への切り替えや、高齢のため栽培が続けられず畑を手放す人も多くなり、りんごの生産者数は減少傾向に。道内一の産地、余市町でも近年は、ワイン用ぶどうなどへ移行する人が増え〝りんごの町〟を支える状況は少しずつ変わってきているよう。地元に住む私たちが、地元・北海道のりんごを食べて応援することは、作り手を守る一番の力になります。

画像8

     *    *    *

〝フルーツ森ファーム〟は、余市町で1、2を争う生産量と栽培面積を誇るりんご農家。4代目として代表を務める森健二さんに会いに、畑を訪れました。健二さんは13年前、結婚を機に、奥様・郁恵さんの家業を継ぐ形でりんご農家の一員に。自身の実家もトマトを中心とした地元農家のため、結婚前から畑仕事の経験は十分でしたが、りんごを手掛けるのは初めてのことだったそう。

「結婚したときはちょうど収穫シーズンで、最初の年はパートさんと妻が僕の先生。みんなの仕事を見ながら手伝い、覚えました。次第に機械を使う義父の仕事も任されるようになり、作業のひと通りができるようになったのは3~4年後かな」。

郁恵さんの父の代には森ファームの栽培法は確立されていましたが、健二さんが目を向けたのは外の世界。

「ずっと同じやり方では、これ以上の進歩はない」と、勉強のために青森へも足を運び、常に栽培の最新情報にアンテナを立てるようになりました。りんごの健康を保つには、病気や害虫など多岐にわたる対策が必要です。一本ダメになると、瞬く間に他の樹にも広がり、その影響は深刻。新しい情報を集めて勉強をしながら、実際に何を選択し、行うかは作り手の能力が試されます。

「不作であったり、病気であったり、なってしまって〝失敗から学ぶ〟では遅いんですよね。問題があるときはりんごが何かサインを出しているはずで、それを読み取って未然に対処しなければ、と。1個でも多くおいしく元気に実らせたいし、1個でも無駄にしたくないんです」。
現在、面積も収量も、譲り受けたときからさらに拡大しています。

画像2

形が揃い、色も鮮やかな森ファームのりんご(写真はひめかみ)

画像3

畑で粗選したりんごは自前の選果場に運び、等級別に分ける

余市町は全道に先駆け、1999年に〝YES! clean〟の登録を実現したことで知られています。登録の条件は「農薬や化学肥料の使用を最小限にとどめること」。また、有機肥料の使用や除草剤の制限など安心に配慮した栽培基準が定められており、すべてを満たした生産者だけが認定されます。果樹栽培は病気や害虫の防除の面から、農薬や化学肥料の削減が難しいとされていますが「安全でおいしいりんごを食卓に届けたい」という一心で、20年以上前に生産者たちが自ら声をあげ、JAと連携し、登録へと動いたのです。

森ファームも、認定を受けている一軒。除草剤は使わず、農薬も必要と判断したときにだけ。「いつ、何を行えばいいか?」。健二さんは経験と知識の両面から磨いてきた〝勘〟を頼りに、りんごのサインを見逃さず、最適なタイミングで手を打っていきます。4代目として、軸に据えているのは〝変化への対応〟。環境も気候も、農業の考え方も、以前正しかったことが、今は通用しないということが多々あるからです。そして得た情報や自らの考えは、積極的に仲間と共有し、意見や情報を交換します。
「自分だけじゃダメ。みんながうまくなって、みんなで良くなりたい」。

画像4

鮮度とおいしさを長く維持できるよう、5年前に巨大冷蔵庫を導入

画像5

余市町りんご生産出荷組合員は61名。うち20名がYES! clean認定者

「大変さもあるけれど〝作る側が楽しい〟のが大事」

画像8

「道産りんごの品種を出回る順に追いかけて味わうと、旬のおいしさが実感できますよ」と森さん

生産にまつわる現場や、現状に話が移ると「りんごに限らず、作物を育てるのは何でも大変ですよ」と、健二さんは前置きした上で「若い生産者がりんごだけで食べていける、前向きな未来を描けたら。少ない面積でも収量が上がる工夫だったり〝ツラい、キツい〟だけじゃなく、作る側が〝楽しい〟とやる気になる、そういう環境や現場を作っていくのが大事だと思います」と話してくれました。

では、健二さんにとっての〝楽しい〟は何なのでしょう?

「実家にいるとき僕はずっと、畑にしかいなかったんですよね。でもりんごを通じて、人との出会いや外とのつながりなど、自分の世界が広がったと実感しています。義父の代からりんごを買いに来てくれているお客様もみんな、いい人ばかりで。森の家系に流れる温厚な人柄が、良いお客様を呼ぶんじゃないかなぁ」。

そしてもう一つ、楽しみにしているのは子どもたちの夢です。小学生になった長女と長男は最近、こんなふうに話すようになったそう。

「長女はお友達と将来、畑の中にカフェを開きたいみたいです。うちで育ったりんごを使ったメニューを出す〝りんごのカフェ〟を。まだ小さい長男は大好きなアニメのキャラクターになるか、りんご農家になるかの2択で悩んでいて(笑)。子どもたちが本当にやりたい!と思ったときに、叶えることができる場所を残しておいてあげたいので、それまで僕ももうひと頑張りですね」。

時代も世代も変わり、良い波があれば厳しい波も。でも、変わらない「おいしいりんごを作って、たくさんの人にたくさん食べてもらいたい」という思い。これからもずっと、私たちも、北海道のおいしいりんごとともに。

画像7

皮ごと食べたい人へおすすめの切り方
森家では子どもたちは皮をむいて食べるそうですが、健二さんは皮も丸ごと食べるのが好み。皮と実が接する部分は特に栄養があるとされているので、皮ごといきたいところですが、抵抗のある方も多いのでは?「縦ではなく横に薄く輪切りにすると、皮の面積が少なくなるので気になりませんよ。中央だけ残せばいいので、芯や種を取る手間も省けます」(健二さん)。生で丸ごと食べたい方は、横から輪切りでお試しを!

JAよいちのりんごは、10月第5週、11月第1週の宅配システムトドックでご案内いたします。

取材・文・編集/青田美穂
撮影/石田理恵

★コープさっぽろの宅配システムトドックについて詳しくはこちら

スキありがとうございます!
3
北海道の生活協同組合コープさっぽろの広報誌 “Cho-co-tto(ちょこっと)” です。 「安心して子どもに食べさせられるものが見つかる」をテーマに、読んでくれた人が「毎日のごはん支度や買い物が“ちょこっと”楽しくなったな」と思ってくれるような記事をお届けします。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。